Q. なぜ激しく押しつぶしたらいけないの?
A. DNAはもろいため、激しく押しつぶしたり強くかき混ぜてしまうと、短く切れてしまい、割りばしで取れなくなってしまうからです。
6. イチゴが液状になったことを確認しましょう。
Q. このとき、ポリ袋の中で何が起こってるの?
A. 細胞壁、細胞膜、核膜が、物理的な破砕と抽出液により壊された状態になっています。つまり、赤い液体の中に、DNAが抽出された状態です。
Q. どうして細胞壁や細胞膜や核膜が壊れたの?
A. 主に、細胞壁は「つぶしたこと」、細胞膜や核膜は「抽出液に触れたこと」で壊れました。つぶすことで物が壊れるのはわかりますよね。細胞壁が壊れたのも、同じイメージです。細胞膜や核膜が抽出液で壊れたのは、抽出液に加えた洗剤には、「界面活性剤」という、細胞膜や核の膜を壊す物質が含まれているからです。
Q. DNAはまだ見えないの?
A. はい、まだ見えません。これは、抽出液に含まれる「塩」によりDNAが溶けているからです。
紅茶に砂糖を入れると、溶けて見えなくなるのと同じです。
どうしてDNAを溶かすのかというと、このあと、イチゴの固体部分をろ過して除くからです。そのため、DNAを溶けた状態にしておかないと、一緒に除かれてしまいます。
7. キッチンペーパーを用意し、折り紙のように三角に2回折ってください。
8. 茶こしと透明なコップを用意し、コップの上に茶こしを載せます。
9. 折ったキッチンペーパーを、茶こしの上にのせます。
10. チャック付きポリ袋の中身を、キッチンペーパーの上に入れます。
Q. この作業、何のためにしているの?
A. 固体を除き、DNAを含む液体だけにするために「ろ過」を行っているのが、この作業です。
このとき、ペーパーフィルターで除かれる固体には、壊れた細胞壁や細胞膜や核膜などの雑多なものが含まれています。DNAを抽出するには、できるかぎり余計なものを含まない状態を作り出す必要があります。
Q. どうして2層に分かれるの?
A. まず、上の透明な層はエタノールで、下の赤い層の主な成分は水です。2層に分かれるのは、エタノールより重い水が下に溜まるからです。ガムシロップをアイスティーに入れると、ガムシロップの方が重いから底に溜まるのと同じ原理ですね。エタノールを静かに入れることで、水の層と混じらず、DNAが抽出されやすい状況を作ります。
Q. 取り出した白いものは本当にDNAなの?
A. ここでご紹介したのはDNA抽出に一般的に使われている手順なので、この白いものはDNAの「はず」とは言えます。しかし、この白いものが本当にDNAなのかを今の状態で確かめることはできません。そのため、本当にDNAかを確認するには、追加実験が必要です。
たとえば、「DNAだけを染める試薬」「DNAを染めない試薬」の両方を使うことで確認ができます。DNAだけを染める試薬には、酢酸オルセイン、酢酸カーミンなどがあり、いずれもDNAは赤く染まります。一方、食用色素(赤)はDNAを赤く染めることはできません。そのため、酢酸オルセインや酢酸カーミンで赤く染まり、食用色素(赤)で染まらなければ、「取り出した白いものはDNAである」と言えるでしょう。
Q. 抽出したDNAを顕微鏡で見たら、いわゆる「らせん構造」は見える?
A. いいえ。ご家庭で入手可能な光学顕微鏡でDNAのらせん構造を見ることはできません。
DNAのらせん構造の直径は2 nm(2ナノメートル、ナノメートルは1 mmの1/1000000の大きさ)で、とても小さいためです。これを見るためには、電子顕微鏡という、数十万から数百万もの倍率で拡大できる顕微鏡が必要です。
Q. 取り出したDNAは何に使うの?
A. 病気の原因を探し出して治療薬を開発したり、犯罪捜査の鑑定や食品の安全確認のために分析したりと、ここでは書ききれないほどさまざまな用途に使われています。これらの実験をご家庭で行うことはできませんが、実はこのDNA抽出法の原理、専門の研究者が日々行っている方法の一つでもあるんです。