二軸押出機の基礎⑤:プロセス変数設定 材料供給速度

二軸押出機の基礎シリーズでは装置の仕組みや特長、プロセス変数設定やその意味、後工程オプションを組み合わせた押出成形について解説していきます。

▼こんな方におすすめです!

  • なんとなく使っているけれど、もっと二軸押出機のことを理解したい
  • 装置構成やパラメーターを変更したいけど、どうしたらよいか不安
  • 二軸押出機をもっと使いこなしたい、もっと活用したい

今回は材料供給速度について紹介します。

材料供給速度の影響

二軸混錬押出において材料供給速度は、以下のようにサンプルの押出速度に関係するだけでなく、他のさまざまなパラメーターに影響を与える要素です。

押出速度(生産速度、スループット)の変化

二軸混錬押出では基本的に材料投入速度=サンプル押出速度となります。プロセスが安定している状態では、押出速度は材料供給速度より遅くも早くもなりません。材料供給速度を上げることでサンプル生産速度を上げることができますが、その上限値(プロセス境界)はエクストルーダーの仕様や他のプロセス設定値などにより異なります。

・プロセスパラメーターの変化

プロセスの結果としてモニターできるプロセスパラメーターも変化します。材料などにもより程度の差があるのですが、材料供給速度を上昇させることで、溶融物温度(サンプル温度)、吐出圧力、スクリューにかかるトルクは上昇する傾向を示します。滞留時間は特に強く影響を受け、短くなります。バレル内の材料充填率が上昇し、ミキシングゾーンで滞留する材料を押し出す速度が増加するためです。

この図は材料供給速度やスクリュー回転速度を変化させたときの滞留時間の変化を観察したものです。グラフがピークに達する時間が短いほど、滞留時間が短いことを示しています。

スクリュー回転速度が3倍になる場合(黄色→赤)に比べて、材料供給速度が3倍になる場合(黒→赤)の方が、滞留時間に対しはるかに強い影響を与えていることが分かります。

・品質管理パラメーターの変化

プロセスパラメーターの変化に伴い、得られるサンプルの品質も変化する可能性があります。
過剰な材料供給速度はせん断不足による分散性の低下や、過度なせん断発熱が生じることによる材料の劣化を生じることもあります。逆に材料供給速度が低すぎると、滞留時間は長くなり、熱履歴の増加による影響が懸念されます。

プロセス境界とその見極め方

下の図はスクリュー速度と材料供給速度(スループット)の関係を表しており、赤の直線はプロセス境界を示しています。

プロセス境界は特定のスクリュー回転速度における材料供給速度の上限値です。これを決めるパラメーターはトルク値もしくはスクリューの搬送能力(供給された材料を取り込みダイへ向かって搬送する能力)の上限値で、どちらかを超えるような材料供給をすることはできません。境界の傾きは、温度設定、スクリュー構成、材料の特性に依存して変化します。

速度調整

プロセス境界は図中の記号(A~G)の順にスクリュー速度と材料供給速度(スループット)を変化させながら確認できます。

先ずは低いスクリュー速度と低い材料供給速度(A)でプロセスを開始します。その後スクリュー速度を上げるとトルク値は減少します(A→B)。トルク値の変化を確認しながら材料供給速度を上昇させます(B→C)。トルク値が装置限界を超えない点まで材料供給速度を上昇させたのち、再びスクリュー速度を上昇させ、トルク値を減少させます(C→D)。

このステップを繰り返してゆくことでプロセス境界を見極めることができます。

材料配合や混錬処方ごとにこのようなプロセス境界の確認を行うことは実際にはないと思います。しかし、ベースとなる材料や、基準となる処方でプロセス境界を確認しておくと、その後の配合の変化や処方の変更の際の指針となります。

まとめ

材料供給速度はコンパウンディングのプロセス全体に非常に強い影響を与えます。適切な材料供給速度を設定することも、よい品質のサンプルを作製する鍵の一つになります。

また、さまざまな設定値、パラメーターと関連するプロセス境界を確認しておくことは、二軸押出における材料の特性を知ることができるとともに、プロセス処方選定の指標となります。

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