二軸押出機の基礎シリーズでは装置の仕組みや特長、パラメーター設定やその意味、後工程オプションを組み合わせた押出成形について解説します。
▼こんな方におすすめです!
- なんとなく使っているけれど、もっと二軸押出機のことを理解したい
- 装置構成やパラメーターを変更したいけれど、どうしたらよいか不安
- 二軸押出機をもっと使いこなしたい、もっと活用したい
今回は混錬押出プロセスの結果として観測することのできるプロセスパラメーターについてまとめます。
プロセス設定値とプロセスパラメーター
二軸押出機はバレル内に投入された材料にせん断による機械エネルギー(力学エネルギー)と加熱による熱エネルギーを与えます。
これらのエネルギーの強さはプロセス設定値を変更することで調整できます。
エネルギーを与えられた材料はその特性(レオロジー特性、熱力学特性、分子構造や状態)が変化します。この変化はプロセスパラメーターとして観測することが可能です。

プロセス設定値の変更がプロセスパラメーターに与える影響
プロセス設定値を上昇させるとプロセスパラメーターにどのような影響を与えるか、一般的に粘弾性流体として分類される熱可塑性樹脂を混錬押し出しすることを想定して説明します。
1. スクリュー回転速度
- 溶融物(サンプル)の温度
スクリュー回転速度が速くなると、粘弾性流体はより高いせん断率にさらされます。これにより、内部摩擦が増加し、材料の温度が上昇する傾向が見られます。
- 吐出圧
スクリュー回転速度が速いと、材料の流量が増加し、バレル内の圧力が上昇します。
- 軸にかかるトルク
回転速度が速いと、せん断力が増加し、スクリューにかかるトルクも増加します。
その一方で、粘弾性流体は通常、せん断薄化性を示すため、スクリュー回転速度が上昇すると粘度が大きく低下し、結果としてトルクが下がります。
全体として、トルクは減少する傾向を見せますが、これらのバランスは材料の特性に依存します。
- サンプルの滞留時間
スクリュー回転速度が速いと、材料の流速が速くなり、滞留時間が短くなります。しかし、その効果はあまり強くはありません。
2. 材料供給速度
- 溶融物(サンプル)の温度
材料供給速度が速いと、材料の流量が増加によりスクリュー内でのせん断が増加し、摩擦熱が発生しやすくなります。これにより、材料の温度が上昇することがあります。
- 吐出圧
材料供給速度が速いと、バレル内の材料充填率が高くなり、圧力が上昇します。材料の粘度によっては圧力の上昇が見られない場合もあります。
- 軸にかかるトルク
供給速度が速いと、バレル内の材料充填率が高くなり、スクリューにかかる負荷が増え、トルクが増加します。
- サンプルの滞留時間
材料供給速度が速いと、バレル内に滞留する材料を押し出す速度が速くなり、滞留時間は短くなります。
3. バレル温度
- 溶融物(サンプル)の温度
バレル温度が高く設定されると、材料の温度も上昇します。バレル内で激しい吸熱・発熱反応が起こる場合は、設定した温度を安定して維持できなくなるケースもあります。
- 吐出圧
バレル温度が高いと、材料の粘度は低下し、流れがスムーズになります。これにより、バレル内の圧力が低下する傾向を示します。
- 軸にかかるトルク
バレル温度が高いと、材料の粘度が低下し、スクリューにかかるトルクが低下します。粘度が低すぎると材料に十分なせん断がかからず、混錬品質が低下することもあります。
- サンプルの滞留時間
バレル温度が高いと、材料の粘度が低下し、流速が速くなることで、滞留時間が短くなる傾向があります。
まとめ
プロセス設定値の変更は混錬押出の条件を変化させ、その影響により、材料の特性が変化し、プロセスパラメーターの変化として観察されます。
その変化は一様ではなく、用いる材料にも強く依存します。プロセスパラメーターの変化を観察することで、材料の特性を確認できます。
逆に、材料の特性を把握しておくことで、プロセスパラメーターの変化を推測でき、混錬押出の適切なプロセス設定を効率的に行えます。
当社ではさまざまなエクストルーダー製品を取り扱っています。ご興味のある方はこちらよりお問い合わせください。
二軸押出機の基礎シリーズ/開発シリーズはこちら
- 二軸押出機の基礎➀ 押出機(エクストルーダー)の原理と二軸押出機の特長
- 二軸押出機の基礎② スクリューとバレルの仕組み
- 二軸押出機の基礎③ プロセス変数設定 スクリューの回転数
- 二軸押出機の基礎④:プロセス変数設定 温度
- 二軸押出機の基礎⑤ プロセス変数設定 材料供給速度
- 二軸押出機によるバッテリー電極の開発➀:バッテリー電極製造における二軸押出機の利点
- 二軸押出機によるバッテリー電極の開発②:スラリーの配合
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