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イムノキャップアレルゲンコンポーネント
特異的IgE アレルギー検査 診断性能の向上

アレルゲンコンポーネントとは

「スギ」や「卵白」といった従来からある特異的IgE抗体検査の多くは、アレルゲン原料から抽出した粗抽出アレルゲン(粗抗原)が固相化されています。近年、粗抽出アレルゲンから単一のタンパク質に対する特異的IgE抗体検査が日常診療で用いられるようになってきました。これはアレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体検査(Molecular Allergology diagnostics / Component resolved diagnostics)と言われています。
粗抽出アレルゲンを用いた特異的IgE抗体検査とアレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体検査を組み合わせることでより精度の高い診断に貢献します。

当社では、アレルギーの診断を支援し、より包括的な管理計画が立てられるよう、臨床的に意義のある粗抽出アレルゲンおよびアレルゲンコンポーネントを含む幅広い検査項目を提供することを目指しています。現在、食物や吸入系のアレルゲン、職業性アレルゲンなどを含め、地域によっては100以上、日本では11種類のアレルゲンコンポーネントを用いた定量検査を幅広く提供しています(2023年10月時点)。

《日常診療において使用できるアレルゲンコンポーネント》

オボムコイド
(卵白由来)
カゼイン
(ミルク由来)
α‐ラクトアルブミン
(ミルク由来)
β-ラクトグロブリン
(ミルク由来)
ω-5(オメガファイブ)グリアジン
(小麦由来)
Ara h 2(アラエイチツー)
(ピーナッツ由来)
Jug r 1(ジャグアールワン)
(クルミ由来)
Ana o 3(アナオースリー)
(カシューナッツ由来)
Hev b 6.02(ヘブビーロクテンゼロニ)
(ラテックス由来)
Gly m 4(グリエムフォー)
(大豆由来)
Asp f 1(アスプエフワン)
(アスペルギルス由来)

この10年間で、当社はAra h 2(ピーナッツ由来)など臨床的に関連の高いコンポーネントを含む、新しいアレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体検査を開発・発売してきました。アレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体検査で収集されたエビデンスの多くは、イムノキャップ法に基づいています1

個々の患者さんに合った診療を支援します

イムノキャップ アレルゲンコンポーネントと病歴を組み合わせることにより、個々の患者さんに合った診療を支援します。

  • 種特異的アレルゲンへの感作と交差抗原による感作の区別2, 3
  • 全身性反応のリスク評価2, 3
  • 免疫療法への応用(日本では日常診療での応用は行われておりません。2023年時点で研究目的での実施のみ)2, 3

詳細な感作プロファイルから、臨床現場でのさまざまな疑問に対するサポートが得られます2, 3

  • 加熱卵に対する耐性がある患者さんかどうか

鶏卵アレルギー/オボムコイドについてはこちら

  • ピーナッツ粗抽出アレルゲン特異的IgE抗体検査に陽性を示した患者さんのうち、全身性反応のリスクが高いか、それとも軽度の症状で済むか

ピーナッツアレルギー/Ara h 2についてはこちら

  • 食物経口負荷試験実施時の総負荷量の選択をどうするか
    • 参考となる指標として粗抽出アレルゲンおよびアレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体検査の抗体価が「食物経口負荷試験の手引き2020」に掲載されています4

 

イムノキャップアレルゲンコンポーネント – 例:ピーナッツ、クルミ、カシューナッツ

ピーナッツアレルギーやクルミアレルギー、カシューナッツアレルギー診断時の検査としてそれぞれの粗抽出アレルゲン特異的IgE抗体検査にそれぞれのアレルゲンコンポーネントを加えることで、コンポーネントレベルでの感作を確認できます。臨床医の先生方はこの情報を使用して、より精密な診断を行い、全身性反応のリスクを評価し、さらに包括的な管理計画を作成できます2, 3

例えば、貯蔵タンパク質2Sアルブミンであるピーナッツ由来のAra h 2やクルミ由来のJug r 1やカシューナッツ由来のAna o 3は、それぞれのアレルゲン摂取時の全身性症状との関連が強いことが知られています5。粗抽出アレルゲン特異的IgE抗体検査に加えて、アレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体検査を組み合わせることでより精度の高いアレルギー診療に貢献します。粗抽出アレルゲン特異的IgEだけでなくそれぞれのアレルゲンコンポーネント特異的IgEも陽性を示す場合、摂取による症状誘発リスクが高いと考えられ、食物経口負荷試験実施前のリスク評価に活用できます6

 

アレルゲンコンポーネントと全身性反応リスクの評価

粗抽出アレルゲン
例:ピーナッツ、クルミ、カシューナッツ 
  • 特異的IgE抗体価が高い場合、感作は確認できるが、
    それだけで臨床的なアレルギー反応は予測できない7
-2Sアルブミン-
Ara h 2(ピーナッツ由来)
  • アナフィラキシーを含む全身性反応のリスクが高い8, 9
  • Ara h 2に対する感作は、多くの場合、臨床的なピーナッツアレルギーに関連している10
  • Ara h 2特異的IgEは、4.0UA/mL以上で95%陽性的中率を示す5
-2Sアルブミン-
Jug r 1(クルミ由来)
  • アナフィラキシーを含む全身性反応のリスクが高い
  • Jug r 1に対する感作は、多くの場合、臨床的なクルミアレルギーに関連している10
-2Sアルブミン-
Ana o 3(カシューナッツ由来)
  • アナフィラキシーを含む全身性反応のリスクが高い
  • Ana o 3に対する感作は、多くの場合、臨床的なカシュ―ナッツアレルギーに関連している

イムノキャップアレルゲンコンポーネント – 例:花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)

花粉と交差抗原性を有する植物性食物を経口摂取してアレルギー症状を来す病態を花粉-食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome, PFAS)と言われています。花粉と交差抗原性を有するアレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体検査を活用することでこの病態を把握するのに役立ちます。

例えば、ハンノキやシラカンバ花粉との交差抗原性をもつ大豆由来のアレルゲンコンポーネント特異的IgEが日常診療で使用できます。ハンノキやシラカンバ花粉症患者さんに生じる豆乳PFASの場合、大豆粗抽出アレルゲン特異的IgE抗体検査が陰性でも、Gly m 4特異的IgE抗体検査が陽性になることもあり、診断に有用です。

カバノキ科花粉の粗抽出アレルゲン

例:ハンノキ(属)、シラカンバ(属)

  • カバノキ科花粉に対する感作が確認できる
  • ブナ目間の花粉には共通抗原性が報告されている

大豆粗抽出アレルゲン

  • 大豆に対する感作は確認できるが、それだけで即時型アレルギーをとるか
    PFASの病態をとるかは区別できない
  • 大豆粗抽出アレルゲン中にはGly m 4含有量が少なく、
    Gly m 4に対する感作がある場合、大豆粗抽出アレルゲン特異的IgEでは陰性となることがある

-Bet v 1ホモログ/PR-10-

Gly m 4(大豆由来)

  • カバノキ科花粉との共通抗原性をもつ大豆由来のアレルゲンコンポーネント
  • Gly m 4に対する感作の場合で、特に豆乳摂取による口腔咽頭症状や重篤症状が報告されている

イムノキャップアレルゲンコンポーネント -即時型小麦アレルギー

乳幼児期に発症することの多い即時型小麦アレルギーの診断には、小麦特異的IgE検査にアレルゲンコンポーネントω-5グリアジン特異的IgE検査を組み合わせて測定することで、より精度の高い結果を得ることができます5。小麦およびω-5グリアジン特異的IgE抗体価をもとに食物経口負荷試験の総負荷量の選択が可能です4

また、自然耐性獲得に伴ってω-5グリアジンの抗体価が低下することから、経過観察の指標としても有用とされています5

イムノキャップアレルゲンコンポーネント -WDEIA(小麦依存性運動誘発アナフィラキシー)

小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis, WDEIA)は、小麦摂取後の運動負荷によってアナフィラキシーが誘発される病態を指します。WDEIAではω-5グリアジンと高分子グルテニンが主要抗原とされており、成人WDEIA症例の90%以上でω-5グリアジン特異的IgE検査が陽性であると報告されています11

粗抽出アレルゲン
小麦
  • 即時型小麦アレルギーでは感度に優れるものの、特異度は十分ではなく、
    クラス6(≧100UA/mL)であっても陽性的中率は75%に留まる
ω-5グリアジン
  • 即時型小麦アレルギー症例において特異度が優れる。
    小麦特異的IgE検査で陽性であってもω-5グリアジン特異的IgE検査で低値を示す場合は、摂取できる可能性が高い
  • 成人WDEIA症例において感度が高く、グルテンや小麦特異的IgE抗体価に比べ高値に出ることが多い5

イムノキャップアレルゲンコンポーネント -医療従事者のラテックスアレルギー

ラテックス粗抽出アレルゲンとラテックス由来のHev b 6.02を組み合わせて特異的IgE検査を行うことでより精度の高いラテックスアレルギー診断につながります。特に手袋を多用する医療従事者やラテックス製医療用具を多用していた症例に対してラテックス粗抽出アレルゲン特異的IgE検査に比べて特異度が高いとされています12

粗抽出アレルゲン
ラテックス
  • 抗体価が高い場合、感作は確認できるが、それだけでは真のラテックスアレルギーかは予測できない
-ヘベイン-
Hev b 6.02(ラテックス由来)
  • ラテックス粗抽出アレルゲンとともに特異的IgE検査陽性の場合、真のラテックスアレルギーの可能性が高い
  • Hev b 6.02に感作されている人は、バナナやアボカドのヘベイン様ドメインに
    交差反応を示しラテックス-フルーツ症候群(LFS)が起こる可能性がある5


イムノキャップアレルゲンコンポーネント -鶏卵アレルギー

粗抽出アレルゲン
例:卵白、卵黄
  • 抗体価が高い場合、感作は確認できるが摂取可能な範囲は予測できない
オボムコイド(卵白由来)
  • 熱に耐性があり、オボムコイドへの感作がある場合には、卵を含む製品全般で症状を呈するリスクがある
  • 卵白特異的IgE検査が陽性でも、オボムコイド特異的IgE検査が陰性の場合、
    加熱した卵製品であれば摂取できる可能性がある
  • オボムコイド特異的IgE抗体価は鶏卵食物経口負荷試験の総負荷量の選択の際、参考になる
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参考文献
  1. Data on File.Thermo Fisher Scientific.July 2017.
  2. Canonica, G.W., et al., A WAO - ARIA - GA(2)LEN consensus document on molecular-based allergy diagnostics.World Allergy Organ J, 2013.6(1): p. 17.
  3. Matricardi, P.M., et al., EAACI Molecular Allergology User's Guide.Pediatr Allergy Immunol, 2016.27 Suppl 23: p. 1-250.
  4. 食物経口負荷試験の手引き2020;.食物アレルギー研究会;.2020
  5. 一般社団法人日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会, 食物アレルギー診療ガイドライン2021; 協和企画;.2021
  6. Motohiro Ebisawa, Komei Ito: Measurement of specific IgE antibody to Ara h 2 and its usefulness as a diagnostic tool for peanut allergy, JJACI 2013;27:621-628
  7. Nicolaou N, Poorafshar M, Murray C, et al.Allergy or tolerance in children sensitized to peanut: prevalence and differentiation using component-resolved diagnostics.J Allergy Clin Immunol.2010;125(1):191-197.
  8. Asarnoj A, Nilsson C, Lidholm J, et al.Peanut component Ara h 8 sensitization and tolerance to peanut.J Allergy Clin Immunol.2012;130(2):468-472.
  9. Peeters KA, Koppelman SJ, van Hoffen E, et al.Does skin prick test reactivity to purified allergens correlate with clinical severity of peanut allergy? Clin Exp Allergy.2007;37(1):108-115.
  10. Asarnoj A, Movérare R, Östblom E, et al.IgE to peanut allergen components: relation to peanut symptoms and pollen sensitization in 8-year-olds.Allergy.2010;65(9):1189-1195.
  11. Eishin Morita,et al, Food-Dependent Exercise-Induced Anaphylaxis―Importance of Omega-5 Gliadin and HMW-Glutenin as Causative Antigens for Wheat-Dependent Exercise-Induced Anaphylaxis-.Allergology International. 2009;58(4):493-498,
  12. Akiko Yagami,et al. Hev b 6.02 Is the Most Important Allergen in Health Care Workers Sensitized Occupationally by Natural Rubber Latex Gloves.Allrgology international.2009;58:347-355